爽快シネマ

映画を観終えた時にスカッと爽快感を味わえる映画、暖かみの残る映画、心に響く映画など、観て良かった!と思える映画をご紹介します

マンハッタンの風景もたっぷり楽しめる「マダム・イン・ニューヨーク」

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予想外に涼しかった日曜日、GYAOで無料配信されていた「マダム・イン・ニューヨーク」を鑑賞しました。

 

マダム・イン・ニューヨーク」の日本公開は2014年。公開当時は主演のシュリデヴィの美しさが話題となっていたことを覚えています。シュリデヴィは1963年生まれ。インドでのこの映画の公開年は2012年で、その年シュリデヴィは49才です。

 

インド映画に登場する女優さんたちは綺麗な方が多いですが、シュリデヴィの美しさは別格です。もうすぐ50才とは全く思えない若々しさ、しかし若い女優さんにはない円熟味を感じさせる深い美しさもあり、映画の最初から最後まで彼女にウットリさせられます。

 

マダム・イン・ニューヨーク」は、結婚後女優業を休業していたシュリデヴィが15年ぶりに映画出演に復帰した作品です。彼女が出演する映画をもっと観たいと思っていましたが、2018年2月に残念ながら亡くなってしまいました。

 

マダム・イン・ニューヨーク」のオリジナルタイトルは「イングリッシュ・ヴィングリッシュ」です。しゃれた響きが映画の雰囲気に合ってますし、邦題もこれで良かったのでは、と思えますが、映画の中でニューヨークにいるシュリデヴィが「マダム」と声をかけられるシーンがあるので、「マダム・イン・ニューヨーク」でも良しですね。映画の内容もこの邦題ならわかりやすいですし。

 

シュリデヴィが演じているのは主婦のシャシ。企業に勤める旦那さんと2人の子供、そして義理のお母さんと暮らしています。映画の冒頭はお母さんがてきぱきと朝の支度をしていると想像出来るシーン。なかなか顔が出て来ないのは、その後に現れるシュリデヴィの美しい顔を印象づけるためでしょうか。もしそうなら大成功だと思います。

 

家族第一で料理上手のシャシ。得意のお菓子作りでケータリングのビジネスもしています。しかし、映画を観続けていると彼女の家庭内での立場が低いことがわかります。旦那さんは彼女のことを愛していますが、仕事なんかしないで自分や家族のことを世話してくれ、といった感じ。冷たくはありませんが、どうも上から目線です。

 

そしていつもシャシを傷つけるのが、旦那さんと年頃の娘が彼女が英語が出来ないことをバカにしていること。

 

現在のインドでは、お金を持っている/持っていないと同じように、英語が出来る/出来ないも、個人を測るものさしの1つなのだそうです。日本でもありますよね、あの人は英語が出来るからすごい、と言って、自分より上のレベルの人のように思ってしまったり。

 

傷つくことはあっても愛する家族と共に過ごせることが幸せなシャシが、ある日ニューヨークに1人で旅立つことになります。現地に住む姪っ子が結婚することになり、シャシだけ結婚式の準備のために家族よりも数週間早くニューヨークに行くことになったのです。(実際に滞在するのはニュージャージーですが)

 

お姉さんと姪っ子たちと一緒にいても、自分の家族と離れて心細いシャシ。そして周囲は苦手な英語の世界です。たまたま入ったマンハッタンのカフェで、英語が出来ないことで屈辱的な扱いをされ、しかしそれがきっかけとなり4週間の英語学校にこっそり入学することになります。

 

マダム・イン・ニューヨーク」は、自分を尊重してくれない家族に傷つく女性が、勇気を出して飛び込んだ英語学校の中で、自分に自信を持ち、そして自分で自分を尊重出来るようになって行く、心の成長物語です。

 

英語学校に入学するきっかけとなったカフェのシーンはちょっと長く、徹底的に打ちのめされるシャシの痛々しい姿をしばらく観続けることになります。映画のなかのことなので、実際にはあそこまでひどい店員はいないと思いますが、言葉のわからない国に滞在したことがある方は、シャシに自分を重ねてしまうかもしれません。

 

しかしこのシーンがあるからこそ、シャシがクラスメイトたちと英語を学び、自分で自分を尊重出来るようになって行く姿がより眩しく感じられるのだと思います。

 

シャシに恋心をいだくクラスメイトのフランス人との関係はどうなる?そしてニューヨークにやって来た家族との今後は?と気にしながら観ていると、柔らかく温かいエンディングが待っている映画です。

 

また、「マダム・イン・ニューヨーク」はニューヨーク好きの方にもおすすめの映画。シャシの通う英語学校はマンハッタンにあるので、地下鉄を利用する姿や街の風景をたっぷりと楽しめます。

 

 【 映画情報 】

  映画タイトル:マダム・イン・ニューヨーク

オリジナルタイトル:English Vinglish

監督:ガウリ・シンデー

主演:シュリデヴィ(シャシ役)

公開年:2012年(日本での公開は2014年)