爽快シネマ

映画を観終えた時にスカッと爽快感を味わえる映画、暖かみの残る映画、心に響く映画など、観て良かった!と思える映画をご紹介します

2019年アカデミー賞作品賞受賞作品!あたたかさが心に広がる「グリーンブック」

f:id:mubikichi:20190314131151j:plain

 

今年のアカデミー賞の作品賞を受賞した「グリーンブック」を観てきました。ちなみに今年のアカデミー賞は第91回目のアカデミー賞だそうです。

 

アカデミー賞を受賞する前から「この映画は観よう」と思っていた映画でしたが、たまたまアカデミー賞作品賞を受賞してからすぐの公開となったので、しばらく混雑・・。だんだん空いてきたのでやっと観てきました。

 

 ***

 

「グリーンブック」の時代背景は1962年。アメリカでは今でも人種問題は大きな社会問題ですが、当時のアフリカ系アメリカ人やジャマイカ系アメリカ人に対する人種差別は今の世の中では考えられないほどのものでした。

 

「グリーンブック」は、そんな時代にNYを拠点に有名ピアニストとして活躍していたドン・シャーリー(ジャマイカ系黒人)と、雇われ運転手となったトニー・バレロンガ(イタリア系白人)の、実話を元にした物語です。

 

グリーンブックとは、南部を旅行する黒人用の宿泊先ガイドブックのこと。

当時の南部では、黒人は白人と同じ宿に泊まれなかったので、グリーンブックに記載されているモーテルなどに宿泊していました。

 

***

 

 ある理由から、黒人差別が激しいアメリカ南部地方(ディープ・サウス)に向かって8週間の演奏旅行に出発することを決めたドン・シャーリー。NYの住居はカーネギーホールの上。有名音楽家らしいリッチな暮らしをしている教養ある人物です。

 

 その演奏旅行の車の運転手/用心棒に雇われたのは、勤め先のクラブが改装中で用心棒の職を一時休職中のトニー。腕っぷしは強いけれど学はなく粗野な男性です。だけれど頭の回転が良く問題対処の能力があり、妻と子供を大切にする家庭的な人物でもあります。また粗野でも悪いことには足を突っ込まない、実は真面目な人です。

 

黒人に対して差別的な感情を持つトニー。お金のためにしぶしぶこの仕事を請負います。対して、運転中でもしゃべりまくり食べまくる粗野なトニーに困惑するドン・シャーリー。お互いソリが合わないまま演奏旅行の旅が続きます。

 

演奏旅行は中西部からスタートし、黒人差別が激しい南部へ。ドン・シャーリーとトニーは旅するなかで、お互いの世界を学び受け入れながら、だんだんと心が近寄って行きます。

 

日本人からは信じられないような黒人差別をあちこちで受けながら更に深い南部に進んで行くドン・シャーリーとトニー。さまざまな黒人差別を目の当たりにし、ドン・シャーリーに親しみを感じ始めているトニーは大きく心が変化していきます。

 

 ***

 

「グリーンブック」は近年のアカデミー賞作品賞受賞作品には珍しく、 爽やかで暖かい気持ちのまま観終えることが出来る映画でした。人種差別という重い社会問題を扱っていますし、巻き込まれる差別的な事件がいくつも登場しますが、話の軸がドン・シャーリーとトニーのお互いに対する心の変化ですし、また映画のつくりは軽く、そして全体的に柔らかいユーモアで包まれているので、差別されてかわいそう、など重く心に残ってしまうことは全くないと思います。

 

面白いと思いながらもちょっと眠くなってしまう映画も時々ありますが、「グリーンブック」は話もわかりやすく、最初からとっつきやすい映画です。そして良かったのが、当時のアメリカの懐かしのメロディーがたくさんかかること。軽やかでワクワクしてくるような、サントラが欲しくなってしまうような曲ばかりでした。

 

好きな場面は、ケンタッキー州でケンタッキー・フライドチキンの店舗をトニーが見つけて興奮していたシーンです。KFCに親しんでいる人だったら、ケンタッキー州でKFCを発見したら「わーっ!」と嬉しくなって、買っちゃいますよね(笑)。

 

***

 

ドン・シャーリーを演ずるのは、マハーシャラ・アリ。 第89回アカデミー賞作品賞の「ムーンライト」でアカデミー賞助演男優賞を受賞している演技派です。この「グリーンブック」でもまた助演男優賞を受賞しました。

 

トニー役はヴィゴ・モーテンセン。「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役で有名な俳優さんです。いつの間にこんなに太ったんだ!と最初思ってしまいました(笑)。

 

監督は誰なのかな、と調べてみてびっくり。大好きなめちゃくちゃコメディー「ジム・キャリーはMr.ダマー」や「メリーに首ったけ」の監督であるファレリー兄弟のお兄さんであるピーター・ファレリーでした。どうりで、あちこちでユーモアを感じさせてくれたわけです。ピーター・ファレリーが監督と知って、ますます「グリーンブック」が好きになりました!

 

***

 

映画のラストは、映画を最初から観てきた人が、「こう終わってほしかった」とにっこりするような素敵な終わり方です。あたたかさが心に広がる、「観て良かった」と思える作品でした。

 

【映画情報】

映画タイトル:グリーンブック

オリジナルタイトル:Green Book

監督:ピーター・ファレリー

主演:ヴィゴ・モーテンセン (トニー・バレロンガ役)

公開年:2019年(2018年アメリカ)