爽快シネマ

映画を観終えた時にスカッと爽快感を味わえる映画、暖かみの残る映画、心に響く映画など、観て良かった!と思える映画をご紹介します

2019年アカデミー賞作品賞受賞作品!あたたかさが心に広がる「グリーンブック」

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今年のアカデミー賞の作品賞を受賞した「グリーンブック」を観てきました。ちなみに今年のアカデミー賞は第91回目のアカデミー賞だそうです。

 

アカデミー賞を受賞する前から「この映画は観よう」と思っていた映画でしたが、たまたまアカデミー賞作品賞を受賞してからすぐの公開となったので、しばらく混雑・・。だんだん空いてきたのでやっと観てきました。

 

 ***

 

「グリーンブック」の時代背景は1962年。アメリカでは今でも人種問題は大きな社会問題ですが、当時のアフリカ系アメリカ人やジャマイカ系アメリカ人に対する人種差別は今の世の中では考えられないほどのものでした。

 

「グリーンブック」は、そんな時代にNYを拠点に有名ピアニストとして活躍していたドン・シャーリー(ジャマイカ系黒人)と、雇われ運転手となったトニー・バレロンガ(イタリア系白人)の、実話を元にした物語です。

 

グリーンブックとは、南部を旅行する黒人用の宿泊先ガイドブックのこと。

当時の南部では、黒人は白人と同じ宿に泊まれなかったので、グリーンブックに記載されているモーテルなどに宿泊していました。

 

***

 

 ある理由から、黒人差別が激しいアメリカ南部地方(ディープ・サウス)に向かって8週間の演奏旅行に出発することを決めたドン・シャーリー。NYの住居はカーネギーホールの上。有名音楽家らしいリッチな暮らしをしている教養ある人物です。

 

 その演奏旅行の車の運転手/用心棒に雇われたのは、勤め先のクラブが改装中で用心棒の職を一時休職中のトニー。腕っぷしは強いけれど学はなく粗野な男性です。だけれど頭の回転が良く問題対処の能力があり、妻と子供を大切にする家庭的な人物でもあります。また粗野でも悪いことには足を突っ込まない、実は真面目な人です。

 

黒人に対して差別的な感情を持つトニー。お金のためにしぶしぶこの仕事を請負います。対して、運転中でもしゃべりまくり食べまくる粗野なトニーに困惑するドン・シャーリー。お互いソリが合わないまま演奏旅行の旅が続きます。

 

演奏旅行は中西部からスタートし、黒人差別が激しい南部へ。ドン・シャーリーとトニーは旅するなかで、お互いの世界を学び受け入れながら、だんだんと心が近寄って行きます。

 

日本人からは信じられないような黒人差別をあちこちで受けながら更に深い南部に進んで行くドン・シャーリーとトニー。さまざまな黒人差別を目の当たりにし、ドン・シャーリーに親しみを感じ始めているトニーは大きく心が変化していきます。

 

 ***

 

「グリーンブック」は近年のアカデミー賞作品賞受賞作品には珍しく、 爽やかで暖かい気持ちのまま観終えることが出来る映画でした。人種差別という重い社会問題を扱っていますし、巻き込まれる差別的な事件がいくつも登場しますが、話の軸がドン・シャーリーとトニーのお互いに対する心の変化ですし、また映画のつくりは軽く、そして全体的に柔らかいユーモアで包まれているので、差別されてかわいそう、など重く心に残ってしまうことは全くないと思います。

 

面白いと思いながらもちょっと眠くなってしまう映画も時々ありますが、「グリーンブック」は話もわかりやすく、最初からとっつきやすい映画です。そして良かったのが、当時のアメリカの懐かしのメロディーがたくさんかかること。軽やかでワクワクしてくるような、サントラが欲しくなってしまうような曲ばかりでした。

 

好きな場面は、ケンタッキー州でケンタッキー・フライドチキンの店舗をトニーが見つけて興奮していたシーンです。KFCに親しんでいる人だったら、ケンタッキー州でKFCを発見したら「わーっ!」と嬉しくなって、買っちゃいますよね(笑)。

 

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ドン・シャーリーを演ずるのは、マハーシャラ・アリ。 第89回アカデミー賞作品賞の「ムーンライト」でアカデミー賞助演男優賞を受賞している演技派です。この「グリーンブック」でもまた助演男優賞を受賞しました。

 

トニー役はヴィゴ・モーテンセン。「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役で有名な俳優さんです。いつの間にこんなに太ったんだ!と最初思ってしまいました(笑)。

 

監督は誰なのかな、と調べてみてびっくり。大好きなめちゃくちゃコメディー「ジム・キャリーはMr.ダマー」や「メリーに首ったけ」の監督であるファレリー兄弟のお兄さんであるピーター・ファレリーでした。どうりで、あちこちでユーモアを感じさせてくれたわけです。ピーター・ファレリーが監督と知って、ますます「グリーンブック」が好きになりました!

 

***

 

映画のラストは、映画を最初から観てきた人が、「こう終わってほしかった」とにっこりするような素敵な終わり方です。あたたかさが心に広がる、「観て良かった」と思える作品でした。

 

【映画情報】

映画タイトル:グリーンブック

オリジナルタイトル:Green Book

監督:ピーター・ファレリー

主演:ヴィゴ・モーテンセン (トニー・バレロンガ役)

公開年:2019年(2018年アメリカ)

話題の映画観てきました「カメラを止めるな!」

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当初は都内の数館だけで公開されていたのに、著名人にファンが続出したり口コミで広がったりで、8月中旬辺りからは公開劇場が全国各地に広まったインディーズ映画「カメラを止めるな!」。2018年夏のヒット映画の1つとなりました。

 

テレビのニュースなどでよく取り上げられていたので、簡単なあらすじはご存知かもしれません。

 

廃墟を利用してゾンビ映画を撮っていたクルーと俳優たちが、本物のゾンビに襲われてしまう映画です。

 

いつも利用する元映画館/今シネコン、にいきなり「カメラを止めるな!」がやって来ました。空いている時が多いこのシネコンですが、今回ばかりはオンライン予約のページを見てみると席が埋まっている日がとても多かったです。

 

空いて来たら観に行こう、と思っている間に、友達が先に観に行きました。友達曰く、思っていたほど可笑しくなかった、とのこと。しかし、その友達の友達の感想は、超面白かった!だったそうです。劇場内も爆笑の嵐だったとか。

 

笑いに関しては評価が分かれると思われるこの映画。さて、自分はどう感じるだろう?と、ちょっとワクワクしながら、強風に負けずシネコンを訪れました。

 

劇場内は混んでもなく、空いてもなく。1人で観に来ている人が多く、映画好きそうな雰囲気の人たちが多いように思えました。1人で来ている人ばかりだから、CMや映画の予告が始まる前の劇場内の静けさと言ったら・・・。

 

そんなことはどうでも良いのですが(笑)、「カメラを止めるな!」は90分ほどの上映時間の映画。最近の映画にしては短めですが、集中して観続けるにはちょうど良い長さですし、短めでも内容はギッシリ詰まっていました。

 

映画のポスターにあるとおり、「カメラを止めるな!」は、まさに「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる」映画です。いつもみたいにあれこれ書くと観に行った時に面白さが激減してしまうので、今回はあまり書かないようにします。

 

感想は、「声を出して笑うほどではなかったけれど、映画自体はとても良く出来ていて面白かった!」、です。劇場内では1人だけ2度ほど「わははは!」と声を出して笑っていましたが、他の方たちは静かに鑑賞していました。きっともっと混んでいると場が盛り上がって、もっと笑う人が多かったのでは、と思えます。

 

映像はホームムービーのような感じ。先日観た「マダム・イン・ニューヨーク」の映像が美しかったので、「カメラを止めるな!」の迫って来るような生々しい映像にちょっと目が疲れました。でもああいう感じの映像だからこそ、緊迫感やエネルギーがより伝わってくるのですよね。

 

映画を観ながら、面白い映画だけどこのブログで紹介するタイプの映画ではないかもな、と思っていたのですが、思いがけず観終わりは爽やかで、なんだかすがすがしい気持ちで劇場をあとにすることが出来ました。

 

映画作りって、大変そうだけど大変なだけに達成感が半端ない、とても魅力的な仕事なのだろうな、と思うことも出来る映画でした。

 

映画の中に登場していた方たちの何人かは、この映画のヒットがきっかけになってメジャーな俳優になって行くのでしょうか。楽しみです!

 

【 映画情報 】

映画タイトル:カメラを止めるな!

監督:上田慎一郎

公開年:2018年

マンハッタンの風景もたっぷり楽しめる「マダム・イン・ニューヨーク」

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予想外に涼しかった日曜日、GYAOで無料配信されていた「マダム・イン・ニューヨーク」を鑑賞しました。

 

マダム・イン・ニューヨーク」の日本公開は2014年。公開当時は主演のシュリデヴィの美しさが話題となっていたことを覚えています。シュリデヴィは1963年生まれ。インドでのこの映画の公開年は2012年で、その年シュリデヴィは49才です。

 

インド映画に登場する女優さんたちは綺麗な方が多いですが、シュリデヴィの美しさは別格です。もうすぐ50才とは全く思えない若々しさ、しかし若い女優さんにはない円熟味を感じさせる深い美しさもあり、映画の最初から最後まで彼女にウットリさせられます。

 

マダム・イン・ニューヨーク」は、結婚後女優業を休業していたシュリデヴィが15年ぶりに映画出演に復帰した作品です。彼女が出演する映画をもっと観たいと思っていましたが、2018年2月に残念ながら亡くなってしまいました。

 

マダム・イン・ニューヨーク」のオリジナルタイトルは「イングリッシュ・ヴィングリッシュ」です。しゃれた響きが映画の雰囲気に合ってますし、邦題もこれで良かったのでは、と思えますが、映画の中でニューヨークにいるシュリデヴィが「マダム」と声をかけられるシーンがあるので、「マダム・イン・ニューヨーク」でも良しですね。映画の内容もこの邦題ならわかりやすいですし。

 

シュリデヴィが演じているのは主婦のシャシ。企業に勤める旦那さんと2人の子供、そして義理のお母さんと暮らしています。映画の冒頭はお母さんがてきぱきと朝の支度をしていると想像出来るシーン。なかなか顔が出て来ないのは、その後に現れるシュリデヴィの美しい顔を印象づけるためでしょうか。もしそうなら大成功だと思います。

 

家族第一で料理上手のシャシ。得意のお菓子作りでケータリングのビジネスもしています。しかし、映画を観続けていると彼女の家庭内での立場が低いことがわかります。旦那さんは彼女のことを愛していますが、仕事なんかしないで自分や家族のことを世話してくれ、といった感じ。冷たくはありませんが、どうも上から目線です。

 

そしていつもシャシを傷つけるのが、旦那さんと年頃の娘が彼女が英語が出来ないことをバカにしていること。

 

現在のインドでは、お金を持っている/持っていないと同じように、英語が出来る/出来ないも、個人を測るものさしの1つなのだそうです。日本でもありますよね、あの人は英語が出来るからすごい、と言って、自分より上のレベルの人のように思ってしまったり。

 

傷つくことはあっても愛する家族と共に過ごせることが幸せなシャシが、ある日ニューヨークに1人で旅立つことになります。現地に住む姪っ子が結婚することになり、シャシだけ結婚式の準備のために家族よりも数週間早くニューヨークに行くことになったのです。(実際に滞在するのはニュージャージーですが)

 

お姉さんと姪っ子たちと一緒にいても、自分の家族と離れて心細いシャシ。そして周囲は苦手な英語の世界です。たまたま入ったマンハッタンのカフェで、英語が出来ないことで屈辱的な扱いをされ、しかしそれがきっかけとなり4週間の英語学校にこっそり入学することになります。

 

マダム・イン・ニューヨーク」は、自分を尊重してくれない家族に傷つく女性が、勇気を出して飛び込んだ英語学校の中で、自分に自信を持ち、そして自分で自分を尊重出来るようになって行く、心の成長物語です。

 

英語学校に入学するきっかけとなったカフェのシーンはちょっと長く、徹底的に打ちのめされるシャシの痛々しい姿をしばらく観続けることになります。映画のなかのことなので、実際にはあそこまでひどい店員はいないと思いますが、言葉のわからない国に滞在したことがある方は、シャシに自分を重ねてしまうかもしれません。

 

しかしこのシーンがあるからこそ、シャシがクラスメイトたちと英語を学び、自分で自分を尊重出来るようになって行く姿がより眩しく感じられるのだと思います。

 

シャシに恋心をいだくクラスメイトのフランス人との関係はどうなる?そしてニューヨークにやって来た家族との今後は?と気にしながら観ていると、柔らかく温かいエンディングが待っている映画です。

 

また、「マダム・イン・ニューヨーク」はニューヨーク好きの方にもおすすめの映画。シャシの通う英語学校はマンハッタンにあるので、地下鉄を利用する姿や街の風景をたっぷりと楽しめます。

 

 【 映画情報 】

  映画タイトル:マダム・イン・ニューヨーク

オリジナルタイトル:English Vinglish

監督:ガウリ・シンデー

主演:シュリデヴィ(シャシ役)

公開年:2012年(日本での公開は2014年)

 

広末涼子と香川照之の恋の行方が気になる「鍵泥棒のメソッド」

最近すこし忙しく、なかなか映画を観に行くことが出来ません。

 

でも、忙しいと言いながらもちょっとした時間は空くもので、そういう時に便利なのが無料動画配信サービスの「GYAO」です。何かないかな〜とアップされている映画をチェックすると、ほとんどの場合、何かしら観たいものが見つかります。

 

今回たまたま発見したのが邦画の「鍵泥棒のメソッド」でした。映画には非日常感を求めるので邦画はあまり観ないのですが、それでもお気に入りの邦画はいくつかあり、「鍵泥棒のメソッド」はその中の1本です。

 

鍵泥棒のメソッド」は、数年前に友人から「面白いから是非観てみて」と言われ、渋々(?)ツタヤでDVDを借りて来て観た映画です。すすめられる以前からツタヤでおすすめ映画的にDVDが飾られていたのでその存在は知っていたのですが、タイトルから話の内容が想像出来ず、面白くないかも?と思って避けてしまっていました。

 

ところが!観てみたらすごく面白かった!すすめてくれた友達に心の中で感謝しました。「これから映画を観るぞ!」と気合いを入れず、ベッドに寝っ転がってリラックスしながら、スマホタブレットで観るのが似合う感じの映画です。ストーリーは捻ってあるもののわかりやすく、こんがらがってストレスを感じるようなこともありません。

 

鍵泥棒のメソッド」は、2012年に公開された映画です。主演は演技派の人気俳優:堺雅人香川照之広末涼子の3人。2018年現在、皆さんますますご活躍されていますね。

 

この映画は賞をたくさん受賞していますが、日本アカデミー賞では堺雅人が優秀主演男優賞、香川照之が優秀助演男優賞広末涼子が優秀助演女優賞を受賞しています。まぁ確かに堺雅人が主演と言えば主演なのかもしれませんが、やはり主演は3人全員だと思います。

 

さて、「鍵泥棒のメソッド」は、広末涼子演じる水嶋香苗が編集長として働く雑誌編集部のシーンからスタートします。几帳面さを感じるデスクの片付け方で、すでに彼女の性格の一片を知ることが出来るでしょう。

 

部下からアルバイト募集の条件にについて尋ねられて答えるのが「健康で努力家の人であれば」。これは彼女自身のことでもあるし、あとでわかって来ますが、彼女が惹かれる男性の条件ともとれます。

 

帰宅準備が出来た水嶋香苗は、ここで部下たちにいきなりの結婚宣言。皆がびっくりする中「まだ相手はいないので、良い人がいれば紹介してください」と頼みます。

 

この展開で「ちょっと面白そう?」と思うのは女性でしょう。男性は「なんだ恋愛もの?観るの止めようか」と思うかも。 しかし次の場面までお待ちください。

 

画面はガラリと変わって、今度は香川照之が登場。誰かを待ち伏せしています。その人物が現れたら近づき、ナイフでグサグサ!そしてレインコートには大量の返り血が・・。そうです、香川照之演じるコンドウはフリーランスヒットマンなのです。

 

男性もグッと興味を引かれる香川照之のシーンからまた一転、今度は汚いアパートでの自殺に失敗した堺雅人演ずる桜井武史が登場します。ここまで来ると「この3人、いったいこれからどう関係して行くの?」と、がぜん興味が湧いてくることでしょう。

 

桜井武史はこのあと銭湯に行き、そして返り血を洗い流したいコンドウも同じ銭湯へ・・。石鹸で足を滑らせたコンドウは頭を打って意識不明。そのすきに桜井武史は銭湯のロッカーの鍵をすり替えてしまいます。「鍵泥棒」ですね。

 

記憶喪失になってしまったコンドウは、ロッカーの中の持ち物から桜井武史と判断され、桜井武史 として生きて行くことに。病院からアパートの住所に向かう際に方角を尋ねたのが水嶋香苗。そして桜井武史はコンドウの高級マンションで、コンドウの秘密を知ることになります。

 

軽いタッチでストーリーが進み、クスクスと笑えるシーンが多い映画ですが、中でも面白いのが記憶を失い桜井武史として生きるコンドウを演じる香川照之です。生来の生真面目さは失われず、病院で購入したノートに几帳面な美しい字でなんでもかんでも書き込みます。何に対しても真面目に前向きに取り組むにコンドウに自分との共通点を見出し、この人となら・・と思う水嶋香苗。。。

 

普通、恋が芽生えるのならば広末涼子堺雅人でしょう、と思いますが、そうでないのがこの映画の興味深いところです。笑いながらもいつしか、この2人がうまく行くといいな、と応援している自分に気がつくかもしれません。

 

鍵泥棒のメソッド」はコメディドラマですが、ラブコメディではありません。ここまで書いてきた内容は映画の前半で起きる出来事。後半はコンドウが記憶を失う前にした「仕事」絡みでまた違う展開になって行きます。

 

でも、しかし、舞台にしても面白いんじゃないかなと思える後半の展開(実際、後年に舞台化されています)を楽しみながらも、やっぱり気になってしまうのが水嶋香苗とコンドウのその後です(笑)。

 

コンドウは結婚相手にぴったりと思えるけれど、恋には落ちていない水嶋香苗。そんな彼女がまさにFall In Loveする瞬間があります。そうそう、恋って本当に何気ないことでストンと「落ちる」ものなんだよ!!と、叫びたくなる瞬間です(笑)。

 

監督は誰だったのだろう?と調べてみたら、なんと、数少ない邦画のお気に入りのうちの1本である「アフタースクール」の監督さんでもありました。こちらも面白いので、「鍵泥棒のメソッド」の雰囲気が気に入ったら、是非観てみてください。大泉洋が出ています。放課後の話ではないんですよ。

 

気負わず楽しみながら観れて、観終えたあとに気が付けば口元が微笑んでいる、というような映画を探していたら、「鍵泥棒のメソッド」は本当におすすめです。

 

そうそう、今ではすっかり人気者のムロツヨシが、映画の中で本当にちょっとだけ出てきます。あれから数年でこんなにメジャーになるなんて。過去に公開された映画を観る時は、こういう発見が出来る時もあるので楽しいですね。

 

【映画情報】

映画タイトル:鍵泥棒のメソッド

監督:内田けんじ

主演:堺雅人(桜井武史役)、香川照之(コンドウ役)、広末涼子(水嶋香苗役)

公開年:2012年 

 

 

2018真夏のおすすめ娯楽映画 その2「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」

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やっと観てきました。「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」。

 

8月3日公開だったので、まさに真夏のおすすめ娯楽映画なのですが、観に行くのが遅くなってしまったから残暑の季節になってしまいました。でもまだ関東は暑いから良しとしてください(笑)。

 

インクレディブル・ファミリー」と同じく、いつも利用しているシネコンで上映されていなかったので、今回もちょっと離れたキレイなシネコンへ。平日の夕方からの回でしたが、劇場内は混んでいて観客の年齢はさまざまでした。いろんな年齢の方が観に来るのは、長く続くシリーズ映画の特徴ですね。

 

ミッション:インポッシブル」は、60年代後半から70年代前半にヒットしたアメリカのドラマ「スパイ大作戦」を元にした映画ですが、テーマ曲、ミッションを告げたあとの機械が消滅するところ、チームで活躍するところ以外、ドラマのおもかげはありません。

 

それどころか「スパイ大作戦」が元になっていることを知らない人も多いのでは、と思います。「ミッション:インポッシブル」と聞けば、今ではトム・クルーズの名前が真っ先に浮かんでくるくらい、トム・クルーズの代表作中の代表作となりました。

 

ミッション:インポッシブル/フォールアウト」は、シリーズ第6作目。1作目からずっと観ていますが、実は、観ている時はいつも「面白い!」と思っているのに、しばらくするとストーリーを全然覚えていない、という現象が起こる映画シリーズなのです。

 

たぶん、シリーズを通してチームメンバーがいつも同じだったら、登場人物たちに愛着が持てて、もっと覚えていられると思うのですが、1作目から全て出ているのは、イーサン・ハント(トム・クルーズ)とルーサー(ヴィング・レイムス)だけですよね。

 

007のように世界を股にかける大作スパイアクション映画は、扱う内容が大きすぎてストーリーをよく掴めない、というのが、映画のストーリーが記憶にあまり残らない理由ですが、MIシリーズに関しては、ストーリーを深く理解しなくていいから、アクションシーンを思い切り楽しんでください!と、言われているような気もします。

 

ミッション:インポッシブル/フォールアウト」の監督は、前作「ローグ・ネイション」と同じクリストファー・マッカリー。「ローグ・ネイション」はストーリーがわかりやすく、そしてもちろんアクションシーンも素晴らしくてとても面白かったので、今作にも期待していました。

 

今回IMFのチームが取り組むのは、おおざっぱに言えば、核爆発を起こすことが出来るプルトニウムがテロリストの手に渡るのを阻止すること。機械がミッションを告げるシーンなど、映画が始まってしばらくすると、今回のテーマ(?)を簡単に説明してくれる箇所があるので、今回の映画で何をどうしたいのかは頭に入れることが出来ます。

 

なんだ、わかりやすい設定じゃないか、と思われると思います。本当にそうだと思いますが、騙したり、騙されたり、が、スピーディな展開の中繰り広げられるので、途中でなんだかつじつまが合わなくなってきて混乱してしまいました(笑)。

 

混乱したと言いながらもこの映画がおすすめなのが、いつものようにトム・クルーズが体を張った超一級のアクションシーンを何度も楽しめるからです。

 

映画の前半ですでにクライマックスシーンのようなアクションシーンがあり、ここでもうこんなに盛り上がってしまって、最後の一番の盛り上げどころはどうするんだ、と、映画を観ながら思っていましたが、そんな心配無用でした。

 

複数の超ハラハラがシンクロするクライマックス。気がつけば、顔が歪んでました(笑)。(鏡は見てませんが、顔のこわばりにふと気がつきました)

 

いやいや、あそこまでスゴいアクションシーンを撮ってしまって、更に期待されてしまう次回作はいったいどうするのだろう?と思います。なんだか話の流れはつかめなくても、これだけ楽しませてもらえれば大満足、といった感じです。面白かった!

 

今回イーサンとチームを組んでいるのは、MIシリーズ3作目から一緒のルーサーとベンジーです。ちょっと癒しキャラのベンジー(サイモン・ペグ)。この先のシリーズでもずっと出てもらいたいな。謎のイギリススパイのイルサやイーサンたちのボスとなった長官役のアレック・ボールドウィンも出るので、「ローグ・ネイション」をご覧になっている方には嬉しい設定です。

 

アレック・ボールドウィンは、トランプ大統領そっくりのモノマネで話題になった俳優さんですね(笑)。

 

ミッション:インポッシブル/フォールアウト」では、イーサンが人間に対して深い愛情を持つ人物であることを知ることが出来るシーンがいくつかあり、人類への愛から危険なミッションに挑んでいる、ということがよくわかります。

 

そして久々(でもないですね)に登場するのがイーサンの妻(ミシェル・モナハン)。一般人レベルでは理解出来ない崇高な愛で結ばれている2人…。2人の短いながら深いやり取りに、なんだか、はっ!、としてしまいました。

 

イーサンの人柄により触れることが出来た今作は、過去のシリーズよりも印象に残りそうです。

 

次回作があるとすれば撮影がきっと50代後半になるトム・クルーズ。また体を張ったアクションを見せてくれることでしょう。国際的な映画人としてのミッションを理解し、全世界の人々を楽しませることに力を注ぐトム・クルーズ。フィールドは違いますが、やっていることはイーサンと同じだと思います。

 

ミッション:インポッシブル/フォールアウト」は、イーサンはトム・クルーズの自分自身、もしくはこうありたいと思う姿の投影、と思いながら観ると、また違った面白さを感じることが出来る、おすすめスパイアクション大作映画です。

 

PS:CIAのお目付け役で登場するヘンリー・カヴィル。新スーパーマンでおなじみ(?)の俳優ですが、以前よりなんだかシュツとした感じで、かっこ良かったです!

 

【映画情報】

映画タイトル:ミッション:インポッシブル/フォールアウト

オリジナルタイトル:Mission: Impossible-Fallout

監督:クリストファー・マッカリー

主演:トム・クルーズ(イーサン・ハント役)

公開年:2018年(アメリカ・日本共に)

 

今観ても断然面白い!トム・クルーズの出世作「トップガン」

8月3日に公開になった「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」。ヒットしていますね。早く観に行きたい!

 

と、思いながらもまだ観に行くことが出来ていません。と、いうことで、トム・クルーズ出世作である「トップガン」を代わり(?)に観ることにしました。

 

トップガン」を観た時に利用したのは、テレビドラマを見逃した時によく使っている無料動画サイト「GYAO」。ちょっと時間が空いた時に便利な、おすすめサイトです。映画も視聴することが出来、「あ、これ観たかった」と思うような、比較的新しい映画もよく登場するので、時々チェックしています。

 

トップガン」とはずいぶん古い映画が入って来たな、と思いましたが、今トム・クルーズの映画を配信するのは一種の「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」の宣伝ですよね。「トップガン」は過去に数回観たことがありますが、若かりし頃のトムを久々に観たくなり、再度鑑賞してみました。

 

トップガン」は、1986年公開の映画です。なんと30年以上も前の映画ですが、映像の色が生々しい感じで、最近見慣れている映像とちょっと違うのと、時代背景が違う程度で、古臭さを感じることはないでしょう。SFX花ざかりの最近のアクション映画と比べると、戦闘機の飛行シーンは現実感があって逆に新鮮です。

 

映画公開時のトム・クルーズの年齢は24才。まだまだ少年っぽさが残る表情ですが、時おり見せる顔は、現在のトムとほぼ同じです。50代になっても20代のころの顔とあまり変わりなく見えるトム・クルーズに、改めて驚いてしまいました。

 

監督はトニー・スコット。2012年に亡くなっていますが、お兄さんのリドリー・スコットは現役の映画監督です。そしてプロデューサーの1人にジェリー・ブラッカイマーの名前が。今ではアクション大作などでしょっちゅう目にする名前ですが、30年以上前もやっぱりこういう感じの映画製作に携わっていたのですね。

 

さて、「トップガン」は、アメリカ海軍の若き戦闘機パイロットである、ピート・ミッチェル(コールサインはマーヴェリック)の成長物語です。

 

天才パイロットであるマーヴェリックですが、家族はもうなく孤独な人物。家族と思うのは相棒のグースだけです。悪い人ではありませんが、ちょっと心に闇があるのに加えて自分に自信があるために問題行動も多く、仲間意識も薄い一匹オオカミ的なマーヴェリック。

 

そんなマーヴェリックとグースが送り込まれたのが、カリフォルニア州ミラマー海軍基地にある「トップガン」です。「トップガン」とは、トップクラスの若きパイロットたちが集められ、空中戦の戦技を更に鍛え上げる訓練学校のことです。

 

腕は一流だけれど性格や協調性に問題のあるマーヴェリックが、このトップガンで恋愛やショッキングな出来事、尊敬出来る上官との交流を経験し、自分を乗り越えて内面的に成長して行くところが「トップガン」の見どころのひとつです。

 

マーヴェリックの年上の恋人になるのは、民間人の教官であるチャーリー(ケリー・マクギリス)。時代のせいか、軍関係だからかわかりませんが、クールで強いです(笑)。どん底に落ち込むマーヴェリックへの励まし方も、軍人さんにはこういう励まし方をするのが普通なんだろうか、と思ってしまいました。

 

もうひとつの見どころは、現実味のある戦闘シーンです。ソ連(今のロシア)の戦闘機であるミグが敵機であるところに時代を感じます。戦闘機が飛んでいるシーンも多いですが、操縦席での表情が見えるシーンも多いので、パイロットたちの緊迫感がより伝わって来てハラハラします。

 

また、「トップガン」を語る上で忘れてはならないのが、サントラCDが欲しくなってしまう魅力的な挿入曲の数々。80年代を代表する大ヒット曲も含まれています。映画を観たことがなくても、きっとどこかで耳にした曲があるはずです。

 

テンションが一気に上がる「トップガン」のテーマ曲:デンジャー・ゾーンは、ケニー・ロギンスの大ヒット曲。ケニー・ロギンスは、ケビン・ベーコン主演の「フット・ルース」のテーマ曲でも有名です。

 

トップガン」の穏やかな雰囲気のオープニングから、曲が急にデンジャーゾーンに変わり、それに合わせて映像もスピーディになるところは、何度観てもワクワクします。

 

そのほか、マーヴェリックとチャーリーのシーンで使われるベルリンの「愛は吐息のように」や、映画のストーリーの中で実際に使われる大切な曲、ライチャス・ブラザーズのオールディーズ「ユーブ・ロスト・ザット・ラヴィン・フイーリング」などなど、聴き逃せない音楽がたくさん揃っています。

 

30年以上経った今観ても断然面白い「トップガン」。凝りすぎて複雑になってしまうものが多い最近の映画と比べると、シンプルでわかりやすいのも良い点です。2019年公開予定が先にのびてしまいましたが、数年後には必ず公開される「トップガン2」の前に観ておくのも良さそうですね。

 

 

【映画情報】

映画タイトル:トップガン

オリジナルタイトル:Top Gun

監督:トニー・スコット

主演:トム・クルーズ(マーベリック役)

公開年:1986年(アメリカ・日本共に)

アニメ映画だからこその超スピード感!「インクレディブル・ファミリー」

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前回記事をアップしてからずいぶん日が経ってしまいました。

この約2週間の間に映画は数本観たのですが、あんまり面白くなかったのでこちらでご紹介するのはやめておきました。このブログは「観て良かった!」と思える映画についてお話ししたいと思って始めたので、そのポリシーに沿って続けていきたいと思います。

 

8月1日に公開となったディズニーアニメ映画「インクレディブル・ファミリー」を観てきました。いつも行く映画館では公開されていないので、今回は久しぶりにちょっと離れた映画館へ。きれいなシネコンで、硬くもなく柔らかくもない快適な座席シートが気に入っています。

 

通常は洋画を観る時は字幕版を選択するのですが、1作目の「Mr.インクレディブル」の吹き替え版の声優さんたちの声がとにかく主人公たちにぴったりだったので、今回は迷わず吹替版を選択。夏休みなのでちびっ子がいっぱいいて、その中に混ざって観てきました(笑)。

 

インクレディブル・ファミリー」は、2004年の映画「Mr.インクレディブル」の続編映画です。監督と脚本は前作と同じ、ブラッド・バード。アニメ映画でキャリアを積んで来ましたが、なんと、ミッション・インポッシブルの4作目「ミッションインポッシブル/ゴースト・プロトコル」も監督しています。

 

そんな実写アクション大作映画も監督出来てしまうブラッド・バードのヒーロー物アニメが面白くない訳ありません。カッコ良くそして面白かった「Mr.インクレディブル」。今回の「インクレディブル・ファミリー」にも、とっても期待していました。

 

映画がスタートしてすぐ感じたのは、時の流れ。日々、いろいろな物事が進化している世の中ですが、アニメーションの世界も大きく進化していたみたいです。前作のアニメーションも素晴らしいと思いましたが、「インクレディブル・ファミリー」のアニメーションは更に素晴らしくなっていました。

 

主人公のパー家の皆さんを始めとする登場人物たちの表情豊かなこと!ちょっと大げさですが、アニメと実写の中間みたいに感じました。アニメらしい前作の主人公たちの顔に慣れていたので、最初はちょっと馴染めなかったです。

 

そしてアクションシーンのスピード感!「インクレディブル・ファミリー」は「Mr.インクレディブル」以上にアクションシーンが多いのですが、とにかく動きがスピーディで躍動感マックスです。動体視力が落ちているとついていかれないかも...(笑)。

 

さて、「インクレディブル・ファミリー」は、前作からつながるストーリーです。前作を観ていなくても楽しめると思いますが、登場人物たちについて理解しているほうがより面白く観ることが出来るので、「Mr.インクレディブル」を観てから今作を観るのがおすすめです。

 

 

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前作では、悪者を戦うヒーロー一家の活躍を描きながら、「我慢しないで自分の好きなことをやったり、自分に自信を持つ」と輝くよ、というメッセージも込められていました。今作はそういったものはなく、1本のアクション映画として純粋に楽しむことが出来ます。

 

Mr.インクレディブル」でのパー家の活躍でスーパーヒーローたちは市民権を得た、と思っていましたが、実はその逆。スーパーヒーロー保護法もなくなって、さあこれからどうしよう、と途方に暮れていたボブ(お父さん)とヘレン(お母さん)ですが、ひょんなところから助けの手が入ります。

 

しかし仕事をまず依頼されたのはヘレン=イラスティガールのほう。出番が回ってくるまでボブ=ミスター・インクレディブルが主夫となることになりますが、年頃の長女のヴァイオレットから赤ちゃんのジャック・ジャックまでの3人の子供のことで、毎日グッタリに。

 

映画の前半ではイラスティガールの活躍と、お母さん不在のパー家の様子が描かれます。ボブの主夫としての奮闘ぶりや、子供がいる家庭ならではのトラブルなどが描かれているので、前作よりもファミリー映画っぽく感じられました。

 

そして「インクレディブル・ファミリー」を語る時に忘れてはならないのが、赤ちゃんであるジャック・ジャックの存在です。「Mr.インクレディブル」の最後のほうでジャック・ジャックにも何かしらスーパーパワーがあるということがわかりましたが、パー家の人たちはまだその事実を知りませんでした。

 

今作ではジャック・ジャックはスーパーパワー出しまくりです。末っ子にもパワーがあることを知った家族も喜びます。が、しかし、ジャック・ジャックのスーパーパワーはスーパーヒーローのものというより、怪人的な...(笑)。これからどうなって行くのでしょう?

 

映画の後半は、前作と同じく家族の面々が力を合わせて悪と戦います。クライマックスに向けて更にアクションシーンが盛り上がり、実写アクション映画以上の臨調感と迫力を満喫出来ます。とにかくスピード感がすごい!

 

インクレディブル・ファミリー」は「Mr.インクレディブル」と同じく、ちょっとレトロな感じのグラフィックがカッコいい映画ですが、音楽にも注目したい映画です。映画が終わってエンドロールが始まっても是非最後まで席を立たず、おしゃれカッコいい映像と音楽を満喫してください。

 

面白かった、というだけでなく、なんだか自分もカッコ良くなったような気分になれる「インクレディブル・ファミリー」。大人にも子供にもおすすめです。字幕スーパー版でもう一度観ようと思っています。

 

ブラッド・バード監督のエドナの声や、サミュエル・L・ジャクソンのフロゾンの声も聞きたいし(笑)。

 

 

【映画情報】

映画タイトル:インクレディブル・ファミリー

オリジナルタイトル:Incredibles 2

監督:ブラッド・バード

公開年:2018年(アメリカ・日本共に)