じんわり暖かな余韻が残る映画「ブリグズビー・ベア」
TBSの「王様のブランチ」映画コーナーで紹介されていたアメリカ映画「ブリグズビー・ベア」。LiLiCoさんの説明を聞いて「この映画観たいなぁ」と思いましたが、ミニシアター系とのことだったので、劇場では観るチャンスはないかなと思っていました。
ところが!たまたま「今日ちょっと時間あるから映画でも観たいな〜」と思って、よく利用する元・普通の映画館/今・シネコンの上映スケジュールをチェックしてみたら、なんと!「ブリグズビー・ベア」が来ていました!嬉しかった!!
「ブリグズビー・ベア」の主人公は、ジェームス。モジャ毛にメガネの青年です。赤ちゃんだった25年前にさらわれて、その後は人里離れた砂漠の中にある秘密基地みたいな家で誘拐犯のニセ両親と暮らしています。
退屈な日々の中での楽しみは、定期的に届けられる「ブリグズビー・ベア」のビデオテープでした。それは、着ぐるみのクマ=ブリグズビー・ベアの冒険物語。なんとなく、NHK教育テレビ(Eテレですね)の子供番組にありそうな、少年の心を沸き立たせる内容です。
ところがある日、とうとう警察が隠れ家をつきとめ、ジェームスは本当の両親の元に戻ります。そこには彼がさらわれてから生まれ、今は高校生の妹も。ここからが「ブリグズビー・ベア」の本題です。
ブリグズビー・ベアに固執するジェームスと、誘拐されていた時のことは早く忘れて今の生活に慣れてもらいたい両親。そして突然現れた奇妙な「お兄ちゃん」がウザい妹。もちろん上手く行きません。
あるきっかけから自分でブリグズビー・ベアの続編を撮ろう!と決めるジェームス。協力してくれる仲間も出来て映画制作は順調に進みますが、ここからもいろいろあり、映画のポスターに書かれているように「ちょっぴりせつない」気持ちにさせられます。
この映画の素敵なところは、ジェームスを囲む周囲の人たちの優しさや暖かさ。周囲に合わせることなく自分の情熱に従って進むジェームスに戸惑いながらも、友情をはぐくんだり、優しく見守ったり、理解しようと努めたりします。
主人公のジェームス役はカイル・ムーニー。アメリカで何十年と続く大人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」にも出演する人気コメディアンです。しかし日本人にとって馴染みがある俳優さんは、ニセ父役のマーク・ハミルのほうでしょう。
マーク・ハミルは「スターウォーズ」エピソード4〜6のルーク・スカイウォーカー役で有名な俳優です。近年公開されたエピソード7と8にも登場、久しぶりに姿を観ることが出来て嬉しかったです。
エピソード8公開前のインタビュー映像をテレビで観たことがありますが、マーク・ハミルは暖かい笑顔がいっぱいのとても明るい方でした。「ブリグズビー・ベア」ではそういう彼のキャラが現れている(?)、印象に残るニセ父を演じています。
「ブリグズビー・ベア」はミニシアター系らしく独特の雰囲気がある映画ですが、大作にはなかなかない、じんわりしみじみと心に広がる暖かさを与えてくれる映画です。観て良かった...LiLiCoさん、この映画を紹介してくれてありがとう!
映画を観に行った当日は、映画の上映が終わっても劇場が明るくなるまでは誰も席を立ちませんでした。また、明るくなっても前方に座っていた10人くらいの観客は全く動いていないというちょっと不思議な光景を見ました。
ウルウルしてしまっていたから涙がおさまるまで立てなかったのかな、とも思いましたが、映画の余韻を楽しんでいたからじっと座っていたのかも知れません。そんな風に思える、心に染みる名作でした。
【映画情報】
映画タイトル:ブリグズビー・ベア
オリジナルタイトル:Brigsby Bear
監督:デイブ・マッカリー
主演:カイル・ムーニー(ジェームス役)
日本公開年:2018年